唐津での滞在先は(画像左側に)唐津城が伺える東唐津の一角に佇む「旅館 洋々閣」を利用しました。格子が組込まれた建屋の構えは大正元年に改築され現在に至っています。
Check-In
玄関を入ると、そこには上り框までの距離と高い天井が確保されており、また足元の石畳には打ち水が施され、一気に贅沢な空間へと様変わりします。
玄関写真の扁額は、明治期の佐賀県出身の衆議院議長だった川原茂輔氏の揮毫によるものだそうです。
レセプションは無駄の無い簡素な造りです。こちらの名を告げると同時に仲居さんが現れ、手荷物を運びつつ館内の説明を行いながら客室へと案内されます。
Lobby Lounge
レセプションから各客室へ向かう際には、必ずロビーラウンジの前を通ります。窓の向こうには石造りの庭園と池が広がり、景色を楽しみながら珈琲を頂くことも可能です。
館内の随所、客室の玄関や床の間に見られる「活花」はどれも見事なのですが、それは旅館専属の「花守」によるもので、器や花瓶も全て「唐津焼」という拘りが見てとれます。
ロビーラウンジの横には、別棟へと繋ぐ趣ある「渡り廊下」、その左右には池と庭園が広がり、廊下から池を覗き込むと餌を期待した鯉達がスグに近寄ってきます。
Tonbo Room(十坊の間)
今回滞在した客室は、洋々閣のフラッグシップともいえる客室「十坊(とんぼ)の間」です。
2間(6帖+8帖)続きの和室に、幅1間半程の広縁が付いた、館内最奥に位置する最も大きな客室となっています。また、広縁からそのまま広大な庭園にアクセスが可能です。
この「十坊の間」は、サブブログの方でも少し触れました「ジャック・マイヨール」のお気に入りで、彼はこの客室しか利用しなかったそうです。
書院(的な造り)や床の間にしても至ってシンプルなデザインですが、バランスが良いため間延びした感じはありませんね。「雑物を置かず、掛け軸を掛け、季節の花を活ける」一見無駄なスペースとも取れます、しかし逆にこれこそ贅沢な空間だとも言えるでしょう。
お茶菓子は唐津定番の「松露饅頭」です。唐津に住んでいた頃はよく食べていましたので、これを見ると幼き頃を思い出します。ここでも器は中里窯の「唐津焼」が使用されています。
滞在中、最も利用したのが広縁でした。窓を開放し椅子に座ると海風が心地良く、また庭園との一体感も得られるため快適なスペースです。ジャックの場合は冬でも窓を開け放ち過ごしていたそうですが、その気持ちもなんとなく理解できます。
サニタリースペースは客室玄関横に纏めて設置されています。滞在中は殆ど大浴場を利用していたので1度しか湯を張りませんでしたが、湯船目線の小庭を設け、ここにも季節の花が活けてありました。
他の施設や食事については、次回の記事で纏めたいと思います。